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忠ちゃん奮闘記 / 1963 新婚旅行 |
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結婚して半年程経ってから、大阪で世話になった大起工業に、新しいめっき技術を勉強する為、家内と一緒にお邪魔したことがあった。その時家内を外に待たせて、自分だけが会社内で話し込んでいた。後で早川社長が出てきて奥さんも入ったらどうと言われ入ってきた。今思えば恥ずかしい。若気の至りでしよう。家内を紹介するのを忘れていた。家内には申し訳ないことをしたと思っている。
その時が新婚旅行らしい事をした。しかし、新婚旅行は行っていないと家内は言う。早川社長は2人で来たのだから、ここから近い有馬温泉でも行ったらと言われ行くことにした。どこにあるのか解らないが教えられるままに電車に乗った。どこの駅か定かでないが降りて、タクシーに乗りいくつかの山を越えて行ったような気がする。ここで一番問題なのはタクシー料金である。手持ちの金もあまり無かったので、いくらかかるか分からない為不安であった。タクシーのメーターがカチカチと上がるたびに肝を冷やした記憶がある。
さて、有馬温泉に着いたが、予約をしていなかった為、ホテル探しである。前にも書いたように、手持ちの金が少ない為、高層なホテルは値が張りそうであったので、みすぼらしい旅館を見つけそこで泊まることにした。宿泊料金と帰りの汽車賃を計算して泊まった記憶がある。今思い出しても、汚い旅館であった。
後で分かったことであるが、福井を出る時に母が家内にこずかい銭を私に内緒で渡してあったようです。今思えば金が有ると思えば気が大きくなって無駄使いをすると思い家内に渡したと思う。親としては子供に金の有難味を分からせる為であろう。親と言うものは有り難いものである。道を外れずここまで来れたのも、母の思いが通じたのだと思っている。
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