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忠ちゃん奮闘記 / 1951 父とグローブ |
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昔も今も野球は子供も大人も大好きである。
その頃町の子は皮のグローブとバットを持っていた。少なくともズックの靴地で作ったグローブは持っていたように思う。私は母にぼろ(使い古した布)でグローブを作ってもらい、友達と野球をしていたが、だんだん田舎の子も新しいグローブを持つようになった。
そこで私も父にグローブを買ってほしいと言った事がある。父は「忠がもっと上手くなったら買ってやる」と言った。
1週間か10日後か記憶が定かでないが、捜し物をしていて2階の夜具入れを開いたら、布団の下に蚊帳があり、その蚊帳を引き出したら、ズックのグローブが出て来た。
その時までは、父はグローブを買ってくれない、なんちゅ言う父だと思ったものであったが、年月が経って思うと子供にほしいと言ってすぐ買って与えると子供はあほになる。すぐにも買って与えたかったに違い無いと思う。隠しておいた心境が良く解る。
しかし、2階の夜具入れにグローブがあったとは言えなかった。
父は数日後お手伝いをしたと言う名目でグローブを出してきた。自慢して友達に見せびらかした記憶がある。
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