|
当社は、社長の方針により、ISO-9001とISO-14001を業界でトップにて取得した。何事でも、最初というのは、価値がありその分苦労も相当なものである。しかし、社長の意欲とせっかちな性格により、多くの成果があり、この挑戦意欲とスピードは、会社の財産である。
ISO-14001,9001認証取得 ISOへの挑戦 清川 卓二 /
「ISO-9000シリーズ」の概要 |
|
|
「ISO-9000シリーズ」とは
「ISO-9000シリーズ」とは、出来上がった製品の品質、信頼性等を保証するJIS(日本工業規格)マーク制度とは異なり、製品を造り出す上で必要な設計から製造、検査、アフターサービスに至る各段階の品質管理体制が適切かどうかを判断するための国際規格である。
同規格は、国際標準化機構(ISO)によって1987年に制定されたが、1991年のEC市場統合を機に品質管理、品質保証規格への共通化の動きが高まるなかで急速に普及し始め、現在では50カ国以上で国家規格に採用されている。
このような動向に対応して、わが国でも、1991年、同規格がJIS規格に導入され、現在、電子部品、化学、機械メーカーなどを中心に認証取得を目指す企業が増加している。
一方、国内でこうした「ISO-9000シリーズ」の審査登録を行っている機関は、現在17(うち在日外国機関が7機関)を数えているが、日本の場合、これまで審査登録機関そのものを認定する上部機関がなかったため、国内の審査登録機関は海外にあるNACCB(英国認証機関認定審議会)、BSI(英国規格協会)等と提携関係を結び、企業の審査登録を行ってきた。1993年になって、審査登録機関の認定と海外との相互認証を行う財団法人日本品質システム審査登録認定協会(JAB)が発足。わが国でもようやく品質保証の審査登録制度(ISO審査登録制度)がシステムとして確立をみることとなった。
「ISO-9000シリーズ」の種類
ところで、わが国では、従来からTQCなどの高度な品質管理システムを持っているが、こうした日本的品質管理と「ISO-9000シリーズ」を比較すると、前者は製造する企業の視点で自社による保証をしているのに対して、後者は顧客が要求する品質を顧客の視点で第三者(審査登録機関)が保証する点に違いがある。
そのため、保証のレベルも日本的品質管理の場合は企業間で格差があるのに対し、「ISO-9000シリーズ」では第三者が保証するため一定であることが分かる。
表1 日本的品質管理と「ISO-9001シリーズ」の相違 |
|
日本的品質管理 |
ISO-9000シリーズ |
保 証 |
内部品質保証
自社による保証 |
外部品質保証
第三者による保証 |
推進方向 |
ボトムアップ |
トップダウン |
能力維持 |
規定なし |
年2回の監査 |
推進目的 |
企業の求心力 |
商取引の保証 |
視 点 |
生産者の論理 |
顧客の論理 |
また、「ISO-9000シリーズ」の内容をみると、9000から9004までの5つの規格で構成されており、このうち審査登録の対象となるのが、ISO-9001から9003の規格である。具体的には、表2の通りとなっている。
表2の規格構成から分かるように、摘要範囲は、ISO-9001が9002を、9002が9003を内包する形となっており、それぞれの規格に応ずる審査の基準となる要求項目は表3の通りである。従って、認証取得を希望する企業は、9001〜9003の中から、自社に合った規格を選択し、各規格の要求項目を整備した上で審査を受けることとなる。
表2 ISO-9000シリーズの規格構成 |
(1) |
ISO-9001
最も範囲が広く、「設計、開発から据付け、付帯サービスまで」を対象としており、これらすべてを供給者が行う場合には選択する。経営者の責任や設計管理をはじめ、20項目にわたる要求事項が明示されている。
|
(2) |
ISO-9002
「製造から据付けまで」を対象とし、設計管理と付帯サービスを除く18項目の要求事項からなっている。 |
(3) |
ISO-9003
製品の「最終検査、試験」のみを対象とし、12項目からなっている。 |
(4) |
ISO-9000
ISO-9000〜9003の規格の使い方と選択の指針を示したもの。 |
(5) |
ISO-9004
品質システムを構築し、実施していく上で基本となる要素を記述したもの。 |
認証取得の留意点
前途のように、「ISO‐9000シリーズ」の認証を取得するということは、第三者(審査登録機関)から保証を受けることにより、購入者が要求している品質上の要求事項を全て満たした製品を生産できる「品質システム」が整っていることを外部に示すことである。
従って、品質保証の内容がいつでもオープンにできるように設計、製造からアフターサービスに至る自社の生産体制を文書としてマニュアル化しておくことがポイントとなる。そのためには各作業段階における責任を明確化するなど、日常の業務の中で曖昧となっている部分は除去することが肝要であり、これにはまず企業内における組織の充実を図ることが最も重要と思われる。
表3 ISO-9001〜9003の審査事項数 |
経営者の責任 |
経営者の責任 |
経営者の責任 |
品質システム |
品質システム |
品質システム |
契約内容の見直し |
契約内容の見直し |
|
設計管理 |
|
|
文書管理 |
文書管理 |
文書管理 |
購買 |
購買 |
|
購入者による支給品 |
購入者による支給品 |
|
製品の識別及びトレーサビリティー |
製品の識別及びトレーサビリティー |
製品の識別 |
工程管理 |
工程管理 |
|
検査及び試験 |
検査及び試験 |
検査及び試験 |
検査、測定及び試験の装置 |
検査、測定及び試験の装置 |
検査、測定及び試験の装置 |
検査及び試験の状態 |
検査及び試験の状態 |
検査及び試験の状態 |
不適合品の管理 |
不適合品の管理 |
不適合品の管理 |
是正処置 |
是正処置 |
|
取扱い、保管、包装及び引渡し |
取扱い、保管、包装及び引渡し |
取扱い、保管、包装及び引渡し |
品質記録 |
品質記録 |
品質記録 |
内部品質監査 |
内部品質監査 |
|
教育、訓練 |
教育、訓練 |
教育、訓練 |
付帯サービス |
|
|
統計的手法 |
統計的手法 |
統計的手法 |
ISO-9001(20項目) |
ISO-9002(18項目) |
ISO-9003(12項目) |
|
|