当社では、お客様からご依頼される開発案件の他に、自社独自でも研究開発を行っております。今回は、平成30年度~令和2年度に、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)として行いました、「熱電素子を組み込んだ高効率SiCパワーモジュールの開発」(事業管理機関:(公財)ふくい産業支援センター)について、その目的と、得られた成果について、紹介させていただきます。
電力変換の核となるパワーモジュールの分野では、高効率化のニーズが高まっております。その中で、当社の主要技術にも挙がっております、パワーデバイスへの表面処理の分野では、上記目標を達成するために、新しいめっき皮膜が求められております。また、発生する熱を効率的に系外に排出する、放熱性も課題となってきております。一方で、高効率という観点から見ると、パワーデバイスで発生し、排出される熱は、エネルギーを捨てていることになり高効率化の妨げとなっております。
そこで、これらの課題を解決するために、当社のめっき技術を活かして、熱電素子を組み込んだ高効率SiCパワーモジュールを開発することを目的として、研究開発を行うこととしました。
1. 量産レベルの無電解ニッケル-低リンめっき皮膜の開発
従来の無電解ニッケル-中リン皮膜よりも耐熱性に優れた皮膜のめっきを、ウエハレベルで実現しました。
2. パワーデバイス向け無電解銅めっき皮膜の開発
ワイヤーボンデイング可能な、無電解銅めっき皮膜の開発を行いました。
3. 粉体めっきによる熱電素子前駆体の作製
テルル粉体やアンチモン粉体にビスマスめっきを行い、熱処理によって、テルル化ビスマスや、テルル化ビスマス-アンチモンに変換されることを確認しました。
4. 積層部分めっきによる熱電素子前駆体パターンの形成
ビスマス、アンチモン、テルルの積層めっきとフォトリソグラフィ法を組み合わせて、熱電素子前駆体パターンを形成し、熱処理によって熱電材料への変換を行いました。
5. めっき技術を用いた銅製水冷冷却器の開発
銅めっきによって水冷冷却器を作成し、冷却性能を確認しました。
本サポイン事業の詳細な内容につきましては、中小企業庁ホームページにあります、戦略的基盤技術高度化支援事業 研究開発成果事例集をご覧ください。近日中に公開される予定です。
清川メッキ工業では、これからも、次世代の地球環境を守り、世の中に安全・安心を提供していくようなニーズに応えていけるよう、めっきの技術開発を続けてまいります。