めっきは金属の膜なので、品物の表面に"金属の特性"を付与することができます。
例えば、表面の硬さや滑り性、磁性などの"物理的特性"を付与することもできます。
今回は、この物理的特性について代表的な硬さ・滑り性・磁性について、見ていきましょう。
代表的なめっき種は、クロムめっき、ニッケルボロンめっき、ロジウムめっきや、SiC複合めっき、ダイヤモンド複合めっきが挙げられます。
めっき以外の表面処理として硬質アルマイト(アルミニウムの陽極酸化処理)もあります。
硬さを付与すると、以下のような利点があります。
硬い相手材とぶつかったとき、傷や破損の防止することができます。
例えば、柔らかい樹脂部品にクロムめっきをすると、傷がつきにくくなります。
相手が柔らかいものでも、長期間擦られるとどうしても摩耗してしまいますが、硬いめっきをすることで、摩耗を抑制できます。
例えば、布を送り出す設備のロール部分にクロムめっきをすると、ロール部品の摩耗が抑えられます。
※摩耗については、相手材にもよるため、必ずしも硬ければよい、ということではありません。
代表的なめっき種は、PTFE複合めっきや窒化ホウ素複合めっきが挙げられます。
滑り性を付与すると、以下のような利点があります。
例えば、駆動部品にPTFE複合めっきをすると、駆動時の摩擦が少なくなり、部品同士の摩耗が抑えられます。
※摺動性については、表面状態や相手材料との組み合わせによって良否が決まります。
- 部品の長寿命化のためには、単純に硬ければよいわけではありません。相手材に与えるストレスを少なくする機能が必要な場合もあります。
室温では、電解ニッケルめっき、コバルトめっき、鉄めっき、およびこれらの合金めっきのみが磁性を有します。
合金めっきとしては、Ni-Co合金めっき、Fe-Ni合金めっきなどがあります。
例えば、コバルト合金めっきはハードディスクの磁気記録媒体として使われています。
同じニッケルめっきでも、無電解ニッケルめっきは、リンとの合金めっきであるため、合金組成を調節することで求める磁気特性が得られることがあります。
無電解ニッケルーリンめっき
低リン(P:4%以下) 磁性
中リン(P:6~8%) 280℃以上での加熱により磁性
高リン(P:11%以上) 非磁性
無電解ニッケルーボロンめっき
B:1%以下 強磁性
電解ニッケル
強磁性