樹脂(プラスチック)は、金属より軽量で成形しやすい材料です。
これにめっきをするとどうなるのでしょう?
樹脂なのに、金属と同じ外観、導電性がある、電磁波シールドとして利用できるなど、様々な機能が得ることができます。つまり、軽くて金属と似た特性を持たせることができるのです!
今回は、樹脂に金属の特性を付与できる「樹脂へのめっき」について紹介させていただきます。
工業化されている樹脂へのめっきの多くはABS樹脂で、家電製品や精密機器に使用されています。
しかし、樹脂は水を弾きやすく、めっき液も弾くため、そのままではめっきできません。少し工夫が必要です。
では、めっき工程と役割をご紹介します。
工程 | 役割 |
1.脱脂 | 汚れの除去や表面に濡れ性を付与します。 |
2.クロム酸エッチング | 表面に小さな凹凸をつけます。 |
3.触媒付与 | 表面に金属(Pd/Snのコロイド)を植え付けます。 |
4.触媒活性 | Snや塩素を除去し、活性なPd核を残します。 |
5.めっき | 無電解めっき、電解めっき、もしくは両方で皮膜を形成します。 |
ABS樹脂は、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレンのポリマーで、エッチングには、クロム酸/硫酸の混合液を用いる事が一般的です。
エッチング工程は、ブタジエン成分をエッチング液で酸化・溶解させて樹脂表面に微小な凹凸を形成し、その内部までめっき皮膜を成長させることで、密着性の良いめっき皮膜ができるのです。
※クロム酸は有害な物質です。取扱いには十分に注意する必要があります。当社でも環境に配慮して取り扱っております。
- 樹脂に密着良くめっきするには、ツルツルな表面をデコボコにするエッチング工程がミソになっています。
ABS樹脂の他にも、様々な汎用プラスチックやエンプラ、スーパーエンプラにもめっきすることができます。
当社には、ABS樹脂、PC-ABS樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂など種々のめっき実績があります。
しかし、処理が難しい樹脂も存在します。樹脂(特にスーパーエンプラ)は耐薬品が高いため、特殊な工程が必要です。このため、めっき工程が長くなったり、特殊な薬品を使用したりすることがございます。
当社では、お客様の材料に合っためっき条件を構築するべく、お客様とご相談しながら、めっき条件の最適化を目指して取り組んでいます。
樹脂へのめっきにご関心があれば、まずはお気軽にお問合せください。