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04.めっき表面の色が違うー変色・腐食

04.めっき表面の色が違うー変色・腐食

めっき処理後、局部的に、時には広い範囲でめっき皮膜の色が変わることがあります。めっき直後に発生する場合だけでなく、時間が経ってから発生することも多くあります。


では、なぜそのような現象が起こるのでしょうか?

現象-拡散

めっき皮膜の色が変化する主な原因としては、以下のことが挙げられます。


1.異物の付着 2.金属間の拡散 3.めっき皮膜の腐食
この中で、本ページでは2.金属間の拡散 および 3.めっき皮膜の腐食について簡単に説明します。(1については異物付着のページをご覧ください。)


まず、金属間の拡散についてお話します。簡単に言うと、拡散する、とは、A金属原子間にB金属原子が入りこむ、ということです。(詳細はFickの第一法則、第二法則を検索してください)
また、拡散の状態はマクロ視点、ミクロ視点によって、様々に種類分けされています。例えば、マクロ的な視点でいうと、表面拡散、粒界拡散、選択拡散等が挙げられます。
拡散で重要な点は、原子の移動速度や拡散量が依存するのは時間と温度である、ということです。


この拡散を使った技術の例としては、電子部品業界でいうと、接合技術です。例えばAuとSnの半田接合があります。半田接合のように、有効、有益な現象として活用できる一方で、思いがけない拡散の進行が不良の原因になることもあります。
以下の腐食の説明の後に、解析事例として拡散の事例を掲載しておりますので、ご覧ください。

現象−腐食

次に、めっき皮膜の腐食についてお話します。金属の腐食は、化学的あるいは電気化学的に侵食されることを指します。腐食は金属表面に酸化剤(酸素、H+など)と水があるときに起こります。
一般的な例では、同じ鉄でも、砂漠では水分が少ないので錆びにくく、逆に、湿度が高い、また、海沿いの地域では水分や酸化剤(海なら塩素)が多いので錆びやすい、と言えます。


では、腐食とはどういったことで進行するのでしょうか?
一般的なFeの腐食の模式図を示します。

Feの腐食例

Feの腐食例 / 04.めっき表面の色が違うー変色・腐食

Fe→Fe2++2e-
1/2O2+H2O+2e-→2OH-
2Fe+O2+2H2O=2Fe(OH)2


上記の反応式から、金属がイオンになりやすい金属であるほど腐食が進みやすく、イオンになりにくい金属であるほど腐食が進みにくくなることが分かります。


なお、大抵の金属は大気中では表面に薄い酸化膜が形成されます。これがバリア層となることもあり、一定量の水と酸素があるだけでは製品ダメージとなるような腐食には至りません。(自然酸化も腐食の一種ですが、今回は不具合についての説明なので、以降、自然酸化以外の腐食を腐食と表現します。)
しかし、表面に腐食の起点となるようなポイントがあったり、酸化剤によって自然酸化膜が無くなり金属が露出した場合などは、腐食が進む原因となります。

解析事例ー熱処理による全面変色

Cu上にNi/Auめっきを行ったサンプルの解析事例です。このめっき品に数百度の熱を数分かけたところ、表面が変色しました。この変色について解析を行いました。まず、変色部のAES(表面の成分分析)を行い、その後、断面解析を行いました。以下に解析結果をまとめました。

解析結果

解析結果 / 04.めっき表面の色が違うー変色・腐食

解析結果より、4点の特徴が確認されました。
1.Auめっき層の上に新たな層が形成されている
2.NiにAuが拡散している
3.Niめっき皮膜に欠陥がある
4.Ni/Cu境界部にボイドがある
これらの結果から、AuのピンホールからNiの拡散および酸素による腐食が進んだこと、また、Ni皮膜の粒界腐食部からNiへの腐食が進行し、そのNi皮膜の欠陥によりAuとCuの拡散が発生したことが推測されます。
一般に、CuとAuとは非常に拡散しやすい性質があります。そのため、CuとAuとの間にNi皮膜をバリア層としてはさみ、拡散を防いでいます。しかし、Ni皮膜に何らかの欠陥がありバリア層としての機能が果たせなくなると、本事例のようにCuとAuの拡散につながる恐れがあります。


今回の事例は、酸素存在下で高温加熱したことが原因でした。その他に原因となるものとしては、物理的なストレスの他、温度、湿度や周囲の大気環境(塩素やアンモニア、硫化水素など様々な腐食性成分により金属腐食が発生する)なども挙げられます。


上記事例だけではなく、変色の原因は様々です。めっき製品の微小化、微細化が進んでいる現在では、さらに複雑でその製品ならではの不具合も多数あります。従いまして、発生した不具合に対し、様々な角度からの分析、解析が必要であると考えます。その点におきまして、当社は「めっき屋」としての経験と知識を最大限に活用し、解析を行っております。


また、今回の事例のように、あらかじめ環境試験等にて試験を実施し、さらに的確な視点での解析を行うことが製品不良を未然に防止するためにはとても効果的です。
当クリニックでは環境試験並びに試験前後の製品解析につきましてもご対応できますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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